フリマアマビエ詐欺

こんにちは、滅三川です。今日は妖怪アマビエの名前をつかった詐欺行為についてちょっと話しておこうかなと思います。

数回アマビエについてのお話をしましたがそれは2020年現在、アマビエがブームだったからこそ私も話題にしたんですけど、やはりブームが起きるとかなり危なっかしい行為も発生します。

実はメルカリなどのフリマアプリで、これは歴史ある、ご利益のあるアマビエのお札です、という名目で、自分で書いた、もしくは他の人が書いたアマビエのイラストを高めの値段で販売するといった、まあ詐欺?まがいのことがあったんですね。

もちろん、ただの現代人が書いたイラストでも(ちゃんと絵師に話が通っていれば、ですが)、そこにインテリアとしての価値を見いだせばそれは別に詐欺とは言えませんが、ただ、ものによっては昔のものに見せかけるためにあえて汚したりしているような、かなり明確に騙そうとしている事例もあるようです。

ここでひとつ言っておきたいことがあります。アマビエに関していえば、歴史のある御札、というものは存在しないと考えたほうがいいんですよ。

というのも「アマビエ」の資料はいまのところ、ひとつだけしか見つかっていません。アマビコなら、複数見つかっていますけど、あのイラストのアマビエはないようですね。

さらに言えばアマビエは瓦版の文化のなかで生まれたものと言え、実際に言い伝えになっていたという話も存在しないんです。

つまり、「これは昔から伝わる由緒正しいアマビエの御札です」という話は基本全部嘘っぱちだ、ということです。

もちろん今後、本物の当時のアマビエの写しが出てくるかも知れないですけど、それは「新しい発見」です。

というわけで、これを聞いてる人は買わないようにするか、もしくは大発見だという超レアな可能性にかけて買うかしてください。

それか、普通にアマビエのグッズとして正直に売ってるものを買いましょう。

と、こんな話だけだとアレなので、ちょっと面白い話をひとつ。実はこうした胡散臭い詐欺は今に始まったわけではないんです。

明治時代の瓦版でこんなニュースがありました。

ある村の金持ちの男のもとに三人組の男が現れこういいます。

「天保年間の海に毎晩光る怪物が現れ、自分は海に住む神々達に使えるアマビコだと名乗った。

アマビコはさらに、今から三十数年後に世界は消滅する段階に入り、災害がおこりまくる。

そのとき自分の姿をうつしてみんなの家にはれば、むしろ幸せに暮らせる、という話をして消えた。

これは、この11月に世界が一変するという別の予言にも一致する。

私たちはそのアマビコ様のお姿をうつした札を配りあるいている。

一件一件家にまわるのも大変なので、あなたがまとめてこの御札を貰ってこの村のものに配ってくれないでしょうか。……一枚5銭、何百枚買いますか?」

完全なる押し売りの詐欺なんですね。(名前はアマビコとなっていますが、内容はほとんど今はやりのアマビエと同じものです。)

このあと、男は偉い人のもとに行ってくれよとか言って断ろうとしたそうですけど、そういう人は頭が固いから信じないんだとかごねられ、最終的にはしっかり78枚買っちゃったそうです。

これは当時でも普通に詐欺と考えられて注意喚起のニュースになりました。時代は繰り返すというか人間はいつの時代も一緒ですね。

これをあなたが読んでいる時期にはもうアマビエ詐欺は少なくなっているかもしれませんが、似たような事が過去にもあったことを考えるとまたどこかのタイミングで復活するかもしれません。